2012年5月30日水曜日

Biological Warfare 生物武器|軍事板常見問題&良レス回収機構


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◆◆生物兵器
<◆WMD(大量破壊兵器)FAQ
兵器FAQ目次

実写版バイキンマン

(朝目新聞より引用)


 【link】

IDSC,読者からの質問集

Rescue Now Net:炭疽菌特集

「Togetter」◆(2010/12/17)アメリカ海軍がもつ強力な生物兵器の写真

「Togetter」◆(2011/03/03)あの前議員秘書が颯爽と登場!
 細菌兵器陰謀論

「朝目新聞」●「バイオ・ハザード」 アメリカ生物兵器の歴史  (of カラパイア)

大阪大学医学部付属病院感染制御部HP,病原体別情報:炭疽菌

電脳将校参謀本部特殊兵器資料室 生物兵器FAQ

日本旅行医学会 炭疽菌Q&A


 【質問】
 生物兵器となる可能性があるとされている生物剤には,どんなものがあるか?

 【回答】
 以下の通り.

生物剤 人から人
への感染
潜伏期 死亡率
(未治療の場合)
徴候と症状 治療 予防

炭疽菌 なし 1〜6日 皮膚:25%
吸入性及び腸:ほぼ100%
 発熱,咳,軽度の肺の不快感に続いて,チアノーゼを伴った重度の呼吸困難  
 重篤な症状が発現した後24〜36時間以内にショックや死に至る 
対症療法
抗生物質の投与 
ワクチンが有効
抗生物質の予防的投与
ブルセラ なし 5〜60日
平均1〜2か月
5%  不規則な熱,頭痛,倦怠感,悪寒,関節痛,筋肉痛,抑うつなどの精神症状 抗生物質の投与 ワクチンなし
コレラ菌 まれ 4時間〜5日
平均2〜3日
50%
(治療により低減)
 発熱,嘔吐,下痢,脱水症状,ショック 水分と電解質の補充
抗生物質の投与
死菌ワクチン弱毒生ワクチン
鼻疽菌,類鼻疽菌 低い 10〜14日 50%以上  発熱,悪寒,発汗,筋肉痛,頭痛,胸膜炎性の胸痛,頚部リンパ節腫脹,脾腫や全身性の丘疹や膿疹 抗生物質の投与 抗生物質の予防的投与
ペスト菌
 
○肺ペスト

高い

2〜3日

100%

 高熱,悪寒から,急速に進行して,チアノーゼを呈する呼吸不全,循環虚脱と出血傾向から死に至る

抗生物質の投与
対症療法

死菌ワクチンは無効
 ○腺ペスト ノミが媒介 2〜10日 50%  倦怠感,高熱が自然に進行し,敗血症となり,中枢神経系,肺などに波及 抗生物質の投与
対症療法
死菌ワクチンが有効
野兎病菌
 ○潰瘍腺型
なし 1〜21日
平均3〜5日
中等度  局所の潰瘍と所属リンパ節腫脹,発熱,悪寒,頭痛,倦怠感 抗生物質の投与 弱毒生ワクチン(治験中)
抗生物質の予防投与
 ○チフス型 なし 1〜21日
平均3〜5日
35%  発熱,頭痛,倦怠感,胸骨下不快感,衰弱,体重減少,乾性咳嗽 抗生物質の投与 弱毒生ワクチン(治験中)
抗生物質の予防投与
リケッチャ Q熱リケッチャ まれ 2〜14日
平均7日
非常に低い  発熱,咳嗽を伴った胸膜炎性胸痛 抗生物質の投与 Q熱ワクチンの接種
抗生物質の予防的投与
ウイルス 天然痘ウイルス 高い 平均12日 高〜中等度  急激に倦怠感,発熱等で始まり,2〜3日後,四肢顔面を中心に皮疹が現れ,膿疱性小疱疹となる 対症療法 天然痘ワクチン接種
再ワクチン接種
免疫グロブリンの投与
馬脳炎ウイルス
 ○ベネズエラ馬脳炎など
低い 1〜5日 1%未満  全身の不快感,弛張熱,頭痛,羞明,筋肉痛,吐き気,嘔吐,咳嗽,下痢 対症療法 ワクチン(治験中)
出血熱ウイルス
 ○エボラ出血熱
 ○マールブルグ病
 ○黄熱病
 ○ラッサ熱 など
中等度 4〜21日 5〜20%以上

エボラ出血熱では50〜90%

 易出血性,点状出血,低血圧,ショック,顔面,胸部の紅潮,浮腫を合併する倦怠感,筋肉痛,頭痛,嘔吐,下痢 集中的対症療法
抗生物質の投与
アルゼンチン出血熱には回復期血漿が有効
黄熱病ワクチン

ラッサ熱などには抗生物質の投与


便秘の子供たちは原理を教える
毒素 ボツリヌス菌毒素 なし 1〜5日 高い
(呼吸補助により5%以下)
 眼瞼下垂,全身脱力,嚥下困難等の弛緩性麻痺から呼吸不全に陥る 気管内挿管と呼吸補助 抗毒素
ブドウ球菌性腸毒素B なし 3〜12時間 1%以下 発熱,悪寒,頭痛,筋肉痛,乾性の咳 対症療法 なし
リシン なし 18〜24時間 高い(毒素量,曝露方法に依存)  吸入曝露で,発熱,、咳,肺水腫,呼吸不全経口摂取で重症の胃腸症状,消化管出血 対症療法 なし
(参考資料)  生物・化学テロリズム:準備と対応のための戦略計画:米国疾病管理センター(CDC),2000  生物剤死傷者の医学的管理ハンドブック:米国陸軍感染症研究所(USAMRIID),1988  ジェーン化学生物ハンドブック第4版:フレデリック・R・シーデル,1899


 【質問】
 生物兵器に使用される微生物には,どんな特徴があるか?

 【回答】
・製造・輸送が比較的容易,かつ安価
・簡単に人から人へ拡散,伝播する
・死亡率が高い
・社会的パニックを引き起こし,例え使用されなくても心理的効果を与えることができる
・ワクチンや血清など,公衆衛生上の対策において,特別な準備を必要とする

 生物兵器は感染してから一定の潜伏期間を置いて発症するので,人に知られることなく撒布可能で,生物兵器使用が判明したときには既に被害が拡大している可能性がある.
 このため,生物兵器は国家が武力攻撃に用いるだけでなく,個人や団体がバイオテロとして使用する危険性もある.

 生物兵器として最も使い易いのは,呼吸器から入って病気をうつすウィルスや細菌である.
 次に,口から入って腸を冒すもの.
 主� ��この2つが生物兵器のターゲットとなるだろう.
 日本脳炎や黄熱病といった伝染病は,感染するために蚊が必要なので,空気中にウィルスをばら撒いても感染しにくい.
 そういう意味では,ベクターと呼ばれる仲介ウィルスを必要とする伝染病は,生物兵器にはなりにくい.

 【参考ページ】
『疫病最終戦争』(ビジネス社,2001/12/20),p.16-17,34


 【質問】
 エボラとかスペイン風邪のように症状の重い病原体は,生物兵器としてあまり適さないと聞きました.
 その理由は?
 致死率が高いほうが,兵器として見たら優れていると思うのですが.

 【回答】
 致死率が高いのは勿論かまわない,というよりそれが望ましい.
 でもな.そいつらは感染力が高過ぎ,治療薬やワクチンも難しい.
 そんなもの使ったら自軍もそこに入れなくなるし,下手すると自国領にまで被害が及んでしまう.

 生物兵器として適してるのは
・致死率が高く
・感染力が低く(人←→人が起きないのが望ましい)
・万が一自軍の兵士が罹っても治療が難しくなく
・使用後変に影響が残留しない
もの.
 致死率が高けりゃ良いってものでも無い のよ.

 但し,これは正規軍の話だけどな.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 将来,どんな生物兵器が登場すると予想されるか?

 【回答】
 生物兵器の未来の予備軍として重視しなければならないのは,熱帯雨林地帯で見られる猿の天然痘である.
 近年,アフリカなどの熱帯雨林の近くに住む人たちの間では,猿から感染した天然痘が流行し,多くの死者も出ている.
 アメリカのCDC(米国疾病管理センター)では,猿の天然痘が将来,世界的に人間でも流行する恐れがあるかもしれない事を視野に入れ,数年前から本格的に調査研究を始めた.
 もしこれが生物兵器として利用されたら,人の天然痘よりも遥かに恐ろしいことになるだろう.
(ただし,人の天然痘ワクチンは効くので,ワクチン対策で被害を小さくすることはできるだろう)

 炭疽菌や天然痘などは,感染してから5〜12日くらいの間で症状が出る急性伝染病だが,もう� �つ,感染して数年してから症状が出る慢性伝染病がある.
 その代表的なものが狂牛病である.
 生物兵器というのは,病気としての怖さと同時に,社会不安によってパニックを起こし,経済効果に大打撃を与えるという側面もある.
 そういう意味で,狂牛病も生物兵器になりうる可能性は充分に考えられる.

 2001年の米国の炭疽菌事件を受け,厚生労働省では,生物兵器に使用される危険の高い病原体として炭疽菌・天然痘・ポツリヌス菌・ペストの4つを挙げた.
 しかし,これらよりも遥かに恐ろしいのが,エボラ,マールブルグ,ラッサ熱,コンゴクリミア出血熱といった,アフリカなどの熱帯雨林に存在する,非常に殺傷性の高いウィルスである.

 エボラ・ウィルスは呼吸器からも感染する可能性が 高いという.死亡率はおよそ90%.発病すると,高熱が出て,全身から出血してしに至る.
 出血した血液の中に生きたウィルスが沢山いるので,それが乾燥して空気中に飛び散ると,呼吸器に回って次から次へと感染が広がる.
 あるいは,患者の血液などに直接触れても感染する.
 エボラ・ウィルスは感染してから症状が出るまで,数日ほどかかる.
 怖いのは,例えば,ある一定の地域でエボラ・ウィルスに感染した人が,飛行機で外国に行くと,本人と一緒にウィルスも運んでしまうことである.本人は感染を知らずに,空港や機内などで接点を持った多くの人を感染させてしまう恐れがある.
 完全は発症は出血だが,その前に喉が痛くなったり,咳が出るといった,インフルエンザのような症状がある.
 その時点で,既にウィルスは咳などによって少しずつ空気中に吐き出されており,十分な感染力を持っている.
 これに出血が加わり,さらにウィルスは放散される.
 つまり,エボラ・ウィルスは一人を感染させることにより,何十万,何百万単位の人を感染させることも不可能ではない.

 このように,伝染性が強く,師かも呼吸器から入って感染しやすいウィルスが,生物兵器として使用されたら,非常に危険である.
 エボラ・ウィルスは,溶液の状態にしておけば4〜5日は生きている.
 培養液内には約1000万個のウィルスがいるので,1日に10%死んだとしても大したことはない.
 99%死んでも,最後に残った1000個のウィルスを生物兵器に利用する事は充分可能である.
 さらに,凍結乾燥すると� �室温でも10年以上は生きている.技術的には決して難しい物ではないので,ウィルスが手に入りさえすれば,エボラ・ウィルスの生物兵器はいくらでも製造できる.

(根路銘国昭〔微生物研究者〕, from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.34-38, 抜粋要約)


 【質問】
 将来登場するだろう新種の生物兵器に対して,どんな対策が必要か?

 【回答】
 非常に重要になるのが,ウィルスの管理.
 先進国の研究所にあるウィルスは,充分な管理の下に置かれているので,そこからウィルスが漏れる事はまずありえない.
 問題は,エボラ・ウィルスのような殺傷性の高い危険なウィルスが,熱帯雨林では殆ど野放しになっている点である.
 これらウィルスが生物兵器として利用されるのを防ぐため,国際条約で発生地を管理する必要がある.
 まず,将来的に生物兵器になる可能性のあるウィルスや細菌の発生場所を調査し,流行地を国際的管理下に置き,テロリストの手に渡らないようにしたり,それらが決して外部に漏れないようなシステム作りが必要である.
 これは一国だけの力では不可能なので,国連やWHOを中心として世界各国が協力して� ��わなければならない.


ラテックス感受性の緩和痛み

 この管理を今の内からきちんとやらないと,将来,熱帯雨林の危険なウィルスがテロリストなどの手に渡った場合,炭疽菌や天然痘などよりも遥かに殺傷性の高い,極めて危険な生物兵器が現れるかもしれない.

 しかし残念ながら,WHOが,こうした伝染病発生の情報収集活動を実施しているが,このような国際的な病原体管理は,まだ本格的に始められていないのが現状だ.

(根路銘国昭〔微生物研究者〕, from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.38-39, 抜粋要約)

 【参考画像】
将来登場するかもしれない新種の生物兵器(グロ注意)


 【珍説】
 原爆や水爆よりも威力のある兵器の候補は,生物兵器と,霞ヶ浦の住人は考えます.

 説明.
 「原爆や水爆」は,地下壕にて防げます.
 生物兵器は,防ぎようが無いでしょう.

 下記,ウィキペディアの生物兵器を参照ください.

霞ヶ浦の住人 ◆iOtf3Y3z8I in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 【事実】
 相変わらず,自分で引用した先すら録に読んでないな.

>反面,使用時の外部条件(例えば気象)に左右される部分が多いことや,
>与える被害を予測しにくく,その場で効果が現れることもないため,ほかの
>二つに比べると兵器としては使いにくい.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 医者です.
 生物兵器は媒介を必要とするから,シェルターなどで完全に隔離できた空間があれば,その集団には広がらないんじゃないか?
 それに,病原菌は中間宿主内では生命力が弱いのが多いから,効率的には核兵器ほどの威力はないんじゃないか?

軍事板
青文字:加筆改修部分

 むしろウィルスや細菌なら,密閉された空間を加圧すれば防げるような.
 現にBSL-4実験室もある訳だし,必ずしも核より上回る効果を出せるとは思えない.
 その気になれば,感染者ごと葬り去る事も出来る訳だしね.

 それと空気感染するタイプで人間に感染するウィルスで,今の所そこまで危険な物は無い筈.
 飛沫/体液感染ではエボラ出血熱で有名なエボラ・レストン株があるが,飛沫/体液では空気感染よりかなり拡散性が薄れるので生物兵器とはなり難い.
 ただ,レストンは猿での空気感染が確認されてるから,怪しい部分もあるけどね.
 今の所人→人の空気感染は確認されてない,という事から考えると,今の所ウィルスで核を上回るような脅威の物って無いんじゃね?

 また,例えばエボラなんかが好例だが,致死率があまりにも高い菌やウィルスは,伝播する前に宿主(感染者)が死亡してしまうため,広範囲に広がり難い.
 核兵器以上の効果を期待するのは無理.

 復活の日にあった,MM88並みの病原菌を作れれば威力はあるだろうが,使うと人類滅亡覚悟なんてもの使えるわけないしね.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 BWCとは?

 【回答】
 生物・毒素兵器の開発・生産・貯蔵を全面的に禁じた条約.1972年署名.
 当時,18カ国軍縮委員会で化学兵器と並んで交渉が進められていたが,軍事的有効性に乏しいとの理由から,BWCにはNPTのような検証規定がない.
 だが,旧ソ連の条約違反疑惑をきっかけに,検証の必要性が議論されている.

(高井晋〔防衛庁防衛研究所第2研究室長〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p., 抜粋要約)


 【質問】
 生物化学兵器の研究をするにはどの大学に行ってどこに就職すればよいでしょうか?

 【回答】
 P4実験施設でメジャーなところと言えば
米CDC,
米フォートデトリック,
米陸軍微生物病研究所,
米NIC,
英ポートンダウン,
仏リヨン
の6箇所.

 ロシアにも何箇所か有るけど,バイオハザード事故の前科の有る所が複数だし,旧ソ連の純軍事施設だったんで,今も継続してるか不明.
 これらの施設に勤務するポスドクにでもなれば,もしかしたら現場を見る機会はあるかもな.
 もっとも,外国人には手出しできない様に成ってるだろうが.

 あと,
「そういったものは趣味でやるのが良いと思います.
 マジメに有機化学の勉強すれば,インペリットやらリシンやら麻薬とかの合成・抽出ぐらいでしたらできますよ.
 ネット上には英文ですが実験テキストも転� ��っています.
 細菌もしかり.生物兵器クラスはムリですが(菌が手にはいらない,入れば可能),入手可でかなーりやばい物まではキッチンラボで取り扱い可」
といった意見を見かけることがあるが,実験やるだけならその辺のキッチン・ラボでも出来るだろうが,六畳一間の爆弾製造と同じで危険極まりない.
 つーか,自分が死ぬだけならともかく,周りが巻き添えになるんで 
激 し く 止 め と け !!!
 いや,まじででホントに駄目.


 【質問】
 アニメ・スレッドの書き込みなんですが,

――――――
858 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2010/03/16(火) 02:41:52 ID:w/VwQeAX0
>>826
 今現在に開発されて死蔵されてる(実際は"死蔵"ではないのだろうが・・・)細菌兵器には
拡散しないように,かなり高度な作りのものがあるよ.
 "細菌兵器"って名前だけど,毒素だけ抽出したものとか.
 そういうやつならば,大規模に拡散はしないだろう.

もっとも,近代の科学技術で開発した細菌兵器って,実戦で大規模に使ったことは実はないから,本当にそうそうカタログスペック通りに行くのかはわからんけど.
――――――

これって本当ですか?

 とりあえず,初心者スレッドの回答では,

>20世紀になってから先進国の軍隊が先進国の軍隊に対して
>細菌兵器戦場で実戦投入したことはない,筈.

ということでしたけれど.

 【回答】
 まあ,一応,1925年のジュネーヴ議定書(窒息性ガス,毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書)で使用は禁止.
 1975年発効の生物兵器禁止条約(細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約)で,開発・生産・貯蔵も禁止はされているんだけどね.

 あくまでも,一応ね.

 例えば炭疽菌テロとかはあったが,軍隊同士では記録に無いわな.
 毒ガスもそうだけど,一方が使えばもう一方も使う報復合戦になって,キリが無いから.

 例え,細菌兵器を巧妙に隠蔽して投入したとしても記録には残せない.
� �条約で禁止されているわけで,条約を無視しまたなんて,自ら公言する国があるわけがない.
 バレたら報復合戦の挙げ句に,国際的にバッシングされまくりなわけだから,積極的に先制して使うという国も出にくいだろうとは思う.

 細菌/ウィルスの効果は高い,というのは細菌兵器を使用していなくとも分かり切っているしね.
 第1次世界大戦ではスペイン風邪が前線でも猛威を奮い,両軍とも,戦闘単位として不適切なほど兵員が減少した部隊が続出した.
 第2次世界大戦の南方戦戦線の各所では,マラリア,赤痢,コレラなどが猛威を奮い,特に補給状態の悪化した部隊では,飢餓とともに将兵の戦闘力を奪っている.
 総力戦レベルの戦争で,細菌/ウィルス兵器なんか使ったら� ��かなり甚大な損害が出るだろうことは予想に難くない.

▼ 毒素を抽出したら…という発想もあり得るが,それはそれで,化学兵器禁止条約(化学兵器の開発,生産,貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約)に抵触する可能性が大.
 毒素を抽出したら…という発想もあり得るが,それはそれで,化学兵器禁止条約(化学兵器の開発,生産,貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約)に完全に抵触する.▲
 これもまた一旦使ってしまえば,報復合戦の呼び水になるよね.

 使ったら相手国より,自国の方に感染が広がって大変です,なんて笑えない事になる可能性もあるしな.
 その手のコントロールできない細菌兵器のことを書いたSFが『復活の日』.


皮膚の沸騰を定義する

 また,生物兵器が使用されない理由としては,安価で確実性の高い別手段で,同様の効果が得られるってのも大きい.
 もっと邪悪(笑)な核兵器は,代用品が存在しえないが故,オンステージ状態のままだ.
 BC兵器は,他の手段で十分なのに,わざわざ高くつくほうを使う理由がない.

 もちろん,加入/批准していない国もあるし,政権が倒れそうだとなれば,なりふり構わず「使ってしまえ」となる国も,今後出てこないとも限らんけどね.

軍事板,2010/03/16(火)
青文字:加筆改修部分

▼> 毒素を抽出したら…という発想もあり得るが,それはそれで,化学>兵器禁止条約(化学兵器の開発,生産,貯蔵及び使用の禁止並びに廃>棄に関する条約)に抵触する可能性が大.

とありますが,生物兵器禁止条約の正式名称は
「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」
なので,完全に生物兵器禁止条約に引っかかり,開発も禁止です.

名無し三等兵 in FAQ BBS,2010/5/16(日) 6:27
青文字:加筆改修部分

 【関連リンク】
「藤堂志摩子のAngel Heart Club」◆(2010/03/18)ノエルの関わったBC兵器がビネンラント戦線でミシオの故郷ごと全滅させた?▲


 【質問】
 細菌兵器の被爆地域拡大対策のために,主要国道・高速を自衛隊が出動して封鎖することは有り得るのでしょうか?
 もし有り得るのなら,具体的にどの部隊(やっぱり化学防護隊?)が動くのかを教えてください.
 封鎖する範囲は東京都心とその周辺の県を考えています.

 【回答】
 規模にもよると思うし,国によっても対応は違う

 日本の場合は対テロ組織はあるが,細菌の広域感染時にどの部隊が出動するかは明確にされていない.
 サリン事件の時を考えればわかると思う.

 サリン程度なら警察で済むかもしれないが,大規模汚染となると防衛出動がかかるだろうし,それがかかれば自衛隊は必ず動く.
 警察も特殊な専門部隊を作って対応するだろう,
 間違っても通常の警察だけで対処出来るとは思えない.

 自衛隊の出動部隊は普通に考えて.普通科化学科衛星科が中心だろう.
 もっとも自衛隊には…と言うよりわが国には細菌兵器の研究機関自体ないが.
 だから実際には米軍頼みになるだろう.


 【珍説】
鳥インフルエンザは,米軍の,生物兵器である!:飄(つむじ風)

 【事実】
 911テロ陰謀論に代わる新しい反米陰謀ネタとして急浮上してきたのが,ケム・トレイルと呼ばれるものです.
 これは高高度から航空機が,有害化学物質を散布した航跡を意味するものなのですが,どう見ても飛行機雲にしか見えません.
ケム・トレイル - Wikipedia

 ちなみにこの飄(つむじ風)氏は,情報統合思念体のCrackさんの話によれば,特にひどいリチャコシ系陰謀論者だそうです.
妄想小説「911」を読んで  その5:情報統合思念体

 このケム・トレイルによる,高高度からの有害化学物質散布は,はっきり言って軍事的にも全く意味がありません.
 なぜなら高高度から化学物質を散布しても,大気に拡散してしまい,致死量ないしは健康被害を及ぼす摂取量ではなくなるからです.
ミサイル防衛システムの恐ろしい実態?:週刊オブイェクト

 しかしこんな,ちょっと調べればわかるような話を,何で信じてしまうのか・・・?

 なお,ベトナム戦争で米軍が行った枯葉作戦では,低高度で散布したので,こちらはベトナム解放軍や解放軍と戦って� ��た米軍,韓国軍,タイ軍,フィリピン軍の将兵に健康被害が出ています.
枯葉剤 - Wikipedia

 ちなみにこの枯葉作戦は,枯葉剤を撒いた航跡の部分だけは,そのジャングルの森林を枯れさせましたが,全部のジャングルまで枯れさせる事は出来ず,軍事的にも意味のない作戦であるというのが,私の見解です.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年03月08日08:30
青文字:加筆改修部分


 【質問】
「エイズ=生物兵器説」の深層・再説
に書かれていることはどのくらい信憑性があるんでしょうか?

 【回答】
 トンデモ説の中では有名な代物.
 新たに発見されるウイルスがあるたびに,兵器説が出てくる.
 最近だと鳥インフルエンザだな.

 「生物兵器」であるためには,その病気が速やかに発病する必要がありますが,AIDSはそうじゃありませんね.
 また,なるべくなら自軍の人々がそれにかかった場合,効果ある治療を行えるものが望ましい(なんの拍子でこちら側で流行るかも分かりませんから)のですが,AIDSはやはりそうではありません.

 80年代以前エイズが見つらなかったのはなぜだろうか?と同サイトの上の方で書いてありますが,本来ある感染者と共生し,おとなしくしていた病原体が,ある時期を境に急激に人間への脅威になるという事例は,エボラ出血熱などを始めとしてまま� ��ることです.

軍事板

 先方のページに
「ごく一部の異端学説としてあしらわれ無視されているのが現状である」
と書いてありとおりですよ.

生物板

 【質問】
 生物兵器でないとすると,一番最初に人間がエイズに感染した理由を教えてください.

 【回答】
 真実がまだ分からないから,科学者も医者も困っているんです.

 最近では(先月),ゴリラに感染するウィルスが,ヒトエイズウィルスによく似ていることが確認されています.
 サルの肉を食べたから,という説や,サルに攻撃された傷から,という説など,仮説はいろいろあります.

 で,エイズに類するウィルスの抗体は昔からサハラ近辺の住人にはあったらしいので,「生物兵器」のような意図的に新しいようなものではなさそうだ,という話になっていたんじゃなかったかな.

るすばんの輪樹 in 生物板


 【質問】
 軍用犬は現在でも利用されていますよね.あれは生物兵器ではないのでしょうか?
 例えば凶暴な犬を敵国に大量に放す,なんてのは立派な生物兵器テロだと思うのですが.
 具体的な生物兵器の定義も教えて下されば幸いです.

 【回答】
 日本語では,生物兵器と訳されますが,英語ではBiological weapon「生物学兵器」となり,ニュアンス的に犬は含まれません

−生物兵器−
 人体や有用生物に対して感染・増殖して病原性を示す微生物を戦争手段に適用した兵器をいい,生物兵器を使用する戦闘を生物戦という.
 しかし,ボツリヌス毒素など菌が生産した後の毒素は,毒素兵器(toxin weapon)とよばれ区別されている.
 第一次大戦まではウィルス学が確立していなかったことなどのため,1925年に調印された化学兵器ないし毒ガスの禁止を目的とするジュネーブ議定書では細菌学的戦争方法という用語を使用し,このため,いまでも生物兵器全体を「bac-teriogical weapon」と呼ぶことがある.

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 炭疽菌への対策は?

 【回答】
 炭疽菌(画像)は人間から人間への水平感染は極めて少なく,比較的伝播力の弱い菌である.
 肺炭疽の場合でも,インフルエンザのように空気中に漂って感染するというわけではなく,菌が飛び散った瞬間に吸い込んで感染するので,爆発的に感染が広がることは余りない.
 郵便物を開封する場合には,プラスティックの板などを前に置いておけば,菌を吸い込む可能性は著しく減少する.
 手に触れた場合でも,すぐに石鹸で手を洗うか,きちんと消毒するといった普通の注意事項を守れば,それほど心配する必要はない.

 治療には抗生物質が有効なので,アメリカでも日本でも抗生物質確保に必死だが,それと同時に,殺菌に必要なマニュアルを周知させることも必要である.
 炭疽菌は� �紫外線を近くから当てることによって死滅する.
 例えば,郵便局の天井から紫外線をぶら下げて一晩当てておけば,郵便物の中に炭疽菌が混ざっていても,殺すことができる.
 放射線を使えばもっと容易である.
 もっとも,このケースでは郵便物表面や,そこから放散した菌が,紫外線と接点を持つことが必要だが.

 芽胞状態では140℃で過熱しても1時間以上は死なないので,環境のいい条件に置いて,菌が増えた段階で60℃で1時間過熱して殺すという方法も考えられる.


 抗生物質確保ももちろん必要だが,まずは徹底的にワクチンなどで予防を行い,その上で国は万が一の場合に備えて抗生物質を用意すべきである.

 【参考ページ】
根路銘国昭〔微生物研究者〕, from 「疫病最終戦争」,ビジネス社,2001/12/20,p.32-33


 【質問】
 炭疽菌に対して日本の脆弱な点は?

 【回答】
 現在の日本の医師で実際に炭疽の患者を診た事のある人は,極めて少なく,現場の医師に知識が乏しい.

 また,炭疽菌にはワクチンが存在するが,現在,日本では販売されていない.
 米英には死菌ワクチン,中露には生菌ワクチンがあると言われている.
 ワクチン接種から免疫生成までには数週間かかる.
 ただし,長期に渡って3〜6回の接種が必要で,副作用も多いことから,アメリカにおいては,一般に広く接種する事は勧められていないという.

 現時点〔2001年末〕では,英米からのワクチン輸入は無理だと思う.
 戦時中は日本でもワクチンを製造しており,技術的にはワクチン製造はさほど難しくはない.
 日本国内でも,いざというときにはすぐにワクチンを製造できる� �勢を整えておく事は必要である.

(常石敬一,科学史家, from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.13, 抜粋要約)

 炭疽菌の初期治療には抗生物質が有効だが,厚生労働省では,現在,国内には数十万人分の在庫があるので,炭疽菌によるテロが起きても治療に不足しないだろうと見ている.
 また,炭疽病に効き目があるとされ,アメリカでは実際の治療に使用されているが,日本では薬事法上の承認がないシプロフロキサシン,レボフロキサシン,ドキシサイクリンなどの抗生物質を,非常自体には特例で使用できるようにする方針だ.

 人から人へ感染し,免疫のない人が多くなっている天然痘についても,厚生労働省は最優先での対策が必要と判断し,300万人分の天然痘ワクチン(種痘)の製造を製薬会社に依頼することを決めた.

 生物テロ対策の最大のポイントは迅速さだ.感染の疑いのある患者が発生した場合,どんな菌かを特定し,感染の広がりを防ぐ素早い対応が必要で,初期検査はその決め手となる.
 この春に厚生労働省が実施したアンケートによると,「炭疽菌の検査ができる」と答えた衛生研究所は,全体の36%に過ぎなかった.
 国立感染研究所は,米国での炭疽菌事件の発生後,緊急に炭疽菌の検査手順を纏め,東京に各地方の衛生研究所の担当者を集めて講習を行った.

(同P.42-43)

 それ以前の問題も,日本の医療現場には沢山あるような気がするが,本FAQは「ブラックジャックによろしく」ではないので,その辺は割愛.


 【質問】
 ボツリヌストキシンって何?

 【回答】
 ボツリヌストキシン (Botulinum toxin) はボツリヌス菌が産生する毒素で,分子量,約15万の高分子タンパク質.
 ボツリヌス菌食中毒の原因となり,致死量は体重1kgに対し1ngと,極めて毒性が強いため,生物兵器としての利用の研究が第2次世界大戦中に進展した.
 生物兵器禁止条約が発効した1975年以降,開発・生産・貯蔵・輸出入が国際的に制限されているが,湾岸戦争時代にイラクが兵器として保有していた他,オウム真理教がこれをエアロゾル化して散布したテロ未遂事件が起きている.

 他方で,痙攣や筋収縮に対する治療薬としても使われているとか.

 ちなみに井上社長なら3ngで即死(推定) >致死量は体重1kgに対し1ng

 【参考ページ】




【ぐんじさんぎょう】,2010/05/31 22:16
を加筆改修


 【質問】
 リシンは生物兵器ですか? それとも化学兵器ですか?

 【回答】
 ヒマの実から抽出する毒素なので,生物兵器.

 リシンは植物毒素系.生成は化学的に行われますが,分類は生物(細菌,ウイルスの他生物由来の毒素も含む)兵器.1972年のBiological WeaponCongressで生物・毒素兵器として,共にBiological Weapon,つまり生物兵器に括られています.
 ボツリヌス菌毒素やフグ毒も同じ.

 余談.極論すると,生物由来の綿を硝化して作ったニトロセルロースも生物兵器か,ということになりますが,毒素ではない,少なくとも毒素として使用するのではないので違うようです.


◆◆◆歴史

 【質問】
 南アフリカではどのような生物化学戦計画があったか?

 【回答】
 1998年に開催された,「真実と和解の委員会」(Truth and Reconciliation Commission)で判明したところによれば,以下の通り.

 この生物化学戦計画は「コースト計画 Project Coast」と呼ばれ,ウォウター・バソン博士という名の人物が推進者.彼は特殊部隊に所属した陸軍准将で,バサ大統領の個人的心臓専門医でもあった.

 この計画には,次のような攻撃計画が含まれていた.

 (1)
 黒人を不妊にするための毒素開発.
 目標の衣服に付着させ,皮膚から吸収させる毒薬の開発.
 チョコレートやタバコに隠せる毒物の開発.
 そしてこれらを「アフリカ民族会議(ANC)」の政治指導者・支持者に対して使用した疑いがある.

 (2)
 南アフリカの黒人村落の水源に,コレラ菌を撒布.
 1970年代後半,ゲリラ部隊と交戦中のローデシア(現在のジンバブエ)の政府軍に炭疽菌とコレラ菌を供与.
 実はこれが,史上初の本格的生物戦争だった.

(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.64, 抜粋要約)


 【質問】
 史上初の本格的生物戦争は?

 【回答】
 1970年代後半,ローデシアにおいて政府軍が,南アフリカから供与された炭疽菌やコレラ菌を,反政府勢力に対して使用したのが最初.

 マサチューセッツ大学医学部内科部門所属(当時)のメリル・ナス博士が,1989-92年に調査を行ったところによれば,以下の通り.

 ローデシアは医療設備の整備された国で,1978年以前においては年間,約13人の炭疽病患者が発生しているだけだった.
 ところが79-80年の2年間には,1万738件の症例が報告され,内182名が死亡.何千頭という家畜が処分され,病気の発生はローデシア各地に拡大.
 しかし不思議なことに,白人所有の農場に災いが及ぶことはなかった.
 75年までに2千人を超える南アフリカの警察官がローデシアに駐屯しており,79年になってから� ��,ローデシアにおける南アフリカの活動は極めて活発だった.
 両国政府とも,この事実を否定していたが,このような状況下で南アフリカの生物戦争が,ローデシアを舞台にして展開したのである.
 この戦争の論理は単純である.黒人の家畜を殺せばゲリラの食料がなくなり,家畜の死をゲリラの責任にすれば,心理戦にも勝利するというものだった.

 炭疽菌の生命力は強靭で,その芽胞は現在も地中で生き延びており,毒性は依然として衰えていない.
 その結果,人間・家畜ばかりでなく,野生の動物までもが犠牲になっている.
 特に旱魃後に大雨が降ったような場合,急激な炭疽病の発生が見られると報告されている.

(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.64-65, 抜粋要約)


 【質問】
 スベルドロフスク事件とは?

 【回答】
 モスクワの東850マイルにあるスベルドロフスクで1979/4/2,突然炭疽病が発生.約百人が感染し,少なくとも64人が死亡した.
 現地の医者は当初,肺炎,次いで心臓麻痺と診断.
 結局,モスクワから専門医が派遣され,炭疽病と断定.
 ソビエト政府は,炭疽菌に汚染された肉を食べたのが原因であるとの発表を行った.

 スベルドロフスクには第19工場 Compound 19 という名称で呼ばれる秘密の生物兵器工場があり,そこから誤って炭疽菌が漏れ出したのではないかと疑われた.
 この疑いが正しかったと証明されたのは1992年5月.
 発表を行ったのはエリツィン大統領だが,彼は事件発生当時,スベルドロフスク地区共産党の最高指導者だった.つまり,事件隠蔽の張本人だったわけである.

 この事件により,ソビエトが1972年の生物兵器協定に違反していたことが明るみに出た.

(吉田一彦〔第2次大戦情報戦史家〕 from 「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.66, 抜粋要約)


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