犯人は精神病院入院歴あり、ですか?
犯人は精神病院入院歴あり、ですか?
「17歳の凶行」騒ぎのなか、その代表的な事件であるバスジャック事件では、事件の模様がテレビで生放送されました。その番組中、「犯人には精神病院に入院歴があるようです」という情報が流され、またか、と思ったのは僕だけではないでしょう。
この「犯人には精神病院入院歴あり」という報道は、いいかげんやめてほしいと思います。もしやるなら、「犯人は水虫の治療歴あり」とか「犯人は痔の手術で入院歴あり」も伝えるべきでしょう。風が吹いたら桶屋が儲かる式の論理展開でいけば「痔で入院」→「思い通りに仕事ができない」→「業績が悪くて左遷」→「世をはかなんで自暴自棄に」→「だから犯罪を犯す」と無理矢理言えなくもない。それくらい、ばかげた言い方だと思いますね。
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こういうステレオタイプな報道が、どれだけ精神障害者を痛めつけ、追いつめ、生きにくくしているのか、マスコミは気づいていないのでしょうか。事実、地域で暮らす精神障害者のなかには、ゴールデンウイークを境に「僕たちはしばらく外に出ない方がいいのかな」と漏らす人もいると聞きました。
ちなみに、僕の観察が正しければ、事件の生放送中に「犯人は精神病院に入院歴あり」を伝えなかったのは、TBSだけだったように思います。あちこちチャンネルをザッピングしていて、TBS以外はみなこれを伝えていました。「NEWS23」で精神障害者をテーマにした特集を活発に取り上げてきた成果なのかもしれません。
「犯人は精神病院入院歴あり」という言い方は、もっともらしく聞こえます。精神障害者は奇怪な行動をする。何をするかわからない。だから、やっぱり犯罪を犯したのだ……多くの人には、そう聞こえることでしょう。でも、こうした言い方は、精神病院入院歴のある人すべてに犯罪予備群のレッテルを貼るのと同じことだし、話が飛躍しすぎです。すべての17歳を疑ってかかるのと、基本的には同じ構造です。
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精神障害者が、時々「問題行動」とも言われる行動をするのは事実です。精神障害者を支援する人のなかには「精神障害者は何の問題行動も起こさないから差別しないで」と言う人もいますが、これはあまりに隠し過ぎでしょう。ただ、この「問題行動」というのもいろいろあって、単に周りから浮いて見えていたり、人とのコミュニケーションの仕方とか距離感の取り方が違っていたり、何となく奇異に見えているだけで、じゃあ具体的にどんな問題をおこしたのかというと、何にもないか、あっても些細なことだったりする。見方によれば、笑い話に転化できる程度のことが大半です。あるいは、周囲の健常者が精神障害者に過剰なプレッシャーをかけているが故に、「問題行動」を誘発するケースもあるように思います。
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話をかき回すようですが、この際、正直に本音を言いましょう。精神障害者が怖いというイメージ、僕にもまだありますよ。障害者に理解があるような顔をしているけど、いけないなあと思いながら、未だにそれはくすぶっている。精神障害者が集うコミュニティに5日間滞在したり、プライベートで一緒にバレーボールでたまに遊んだりして、フランクに接することが比較的できるとは思うけれど、じゃあどれだけプライベートで深いつきあいができるかというと、正直言って自信はない。これ、本心です。まあ、精神保健医療に携わっている意識の高い人のなかにも、こういう本音を押し殺している人は多いと思いますけど。
お互いが本心を吐露しあえるような場が、少なすぎるなあと思いますね。冒頭で「犯人は精神病院入院歴あり」はいい加減にやめてほしいと言いましたが、じゃあ辞めましょうと突然封印されるのも、ちょいと困る。いろいろマズイらしいし、精神障害者団体から抗議もあるから、こういう表現はやめておこうと、腫れ物にさわるように封印されても前進はしません。
例えば、「朝まで生テレビ」のような番組で一度取り上げてから、放送局が自主判断するのも方法ですね。そこでは放送禁止用語も条件付きで許されていいから、お互いに胸にくすぶっている本音を出し合ったほうがいい。確か、精神病院の増改築に反対している地域があると朝日新聞で報道されていましたが、そこの施設側、住民側、住民を支援する政党の議員も参加して、ざっくばらんに話し合えばいい。100%は無理でも、なあんだ、と理解し合える部分は、けっこうあると思うのですが。そろばん勘定でも、これ、なかなか高視聴率になると思いますよ。
何度もふれている、北海道の精神障害者のコミュニティ・べてるでは、91年、地域の住民に呼びかけて「差別 ・偏見大歓迎集会〜決して糾弾いたしません〜」という集いを催したのだとか。さすが、発想がユニークで、シャレもきいていて、的を射ています。
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